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2011年12月29日 (木)

『猫鳴り』 沼田まほかる

沼田まほかるさんの猫タイトルの本、これは読まずにいられない。

猫のモンの一生と、その周辺の人たちを描いています。

生まれたばかりの子猫時代の第1部、

大きく成長した成猫時代の第2部、

年老いて弱り、最後の時を迎える第3部。

そんなモンと関わる主人公となる人物はそれぞれに違います。

そこらにある可哀想な捨て猫の話と思ってこの話を読み始めると、

まずは「え~~~(/□≦、)」って感じになります。

最初、まほかるさんって、すごく猫嫌いの人なんじゃないかって思ったくらい。

傷ついた心の闇と苦悩を抱えた人間、それゆえの残酷さ。

それにもめげない強さを持って、図太く平気で生きようとする猫。

暗くて希望がないのに、なぜか根底にほのかな温かさが感じられる

とてもまほかるさんらしい雰囲気があります。

『ユリゴコロ』のような衝撃的な事件や殺人などは全くおこらない、

静かな日常を過ごす人々の心の中を描いた作品です。

私自身、猫を飼い始めてから、

いつの間にか自分が思っていた以上の愛情を感じ、

自分の中でとても大切な大きな存在になってしまっていることに気付き、

これはやばいな、と感じ始めていました。

実は、猫って、私はもうちょっと

ドライな関係でいられるものかと思っていたんですが。

だって、動物も人間もいつかは必ず死ぬものだから。

にゃんこが愛おしければ愛おしくなるほど、お別れの時のことを考えると

自分は耐えられるんだろうか、と不安になってきていました。

くるにゃんが「このままだと半年の命」って言われた時の自分の動揺を考えると、

このままじゃだめだ、もっとちゃんと覚悟して飼わなきゃ、と思っていました。

そういう意味で、この本を読んでとても良かったと思います。

「死にゆくこと」をここまで真正面から、目をそらさずにリアルに描くって、

とても勇気のいることだと思います。

手触りまで感じられるような猫の描写を読むと、

まほかるさんは、本当に猫好きの方なんだと思います。

そんな愛するものが静かに少しずつ「モノ」になっていく姿を描くのは

とても辛く苦しい作業だったろうと思うのに、

それは「とても自然なこと」としてちゃんと覚悟を決めて見届けていらっしゃいます。

モンの姿に何度もくるにゃんを重ね合わせてしまいました。

読んだ後、なんだかくるまで死んでしまった気がして、呆然としていたら

リリン♪という鈴の音を鳴らしながらトコトコ歩いてきたにゃんこを見て、

ああ、まだ生きてたんだ。。ってなんか泣けてしまいました。。(ノ_-。)

(勝手に殺すにゃ!・・・by.くるみ)

くるにゃんがいなくなる日のことなんて、考えるのもイヤだったけど。

化け猫になるまで生き続けてほしいと思っているけれど。

これを読んで思いました。

もしいつか、くるにゃんが年老いて死ななければならない時がくるのなら、

その時はモンちゃんのように逝かせてあげたい。

強い心と覚悟を持って、

しっかりとした気持ちで人や動物を愛せる人になりたいです。

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コメント

実家の母は大の猫好き。
だから猫の方から寄ってきます。
今まで何匹、野良猫を飼ったことか。
猫は、死を迎える時姿を隠します。
まわり山ばかりの田舎だからでもあるが、
(多分本能だと思う。)
だから母は、年老いた猫に向かって、
「どこにも行くな、ここにいるように」
と何度も話しかけています。
最後の時まで一緒に暮らすこと。
それができることは
とても幸せなことだと思います。
猫にとっても人にとっても。


投稿: m-スナフ | 2011年12月29日 (木) 10時52分

notem-スナフさん

猫、どこに行っちゃうんでしょうね。。
くるにゃんは、たとえドアが開いていたとしても
外に出ようとはしない超箱入り猫なので、
きっと最期の時も我が家にいてくれると思います。
(モンちゃんは、ベッドの下に入ってしまいました)

飼っていた金魚が死んで埋めてあげたこととか、
ザリガニを池に返しに行ったこととかはありますが、
哺乳類を飼って死なれたことってないんです。

でも大切なものを失う時の絶望感は
イヤというほどわかっているので
考えるのも怖くて避けてしまっていた自分がいました。

でもやっぱり、普通の寿命的に考えて、
飼い主はにゃんこやワンコの最後を
ちゃんと見届けてやらなければなりません。

生きているものはすべていつか必ず死ぬんだ、
それはとても当たり前で自然なことなんだ、
常にそういう覚悟で人や動物と関わり、
後悔しないように生きていきたいと思いました。

じたばたしながらも、強い心をもった人になりたいです。

投稿: なかさな | 2011年12月29日 (木) 23時50分

年をとるごとに、物事が深く感じられるようになりますね。
それが年を重ねてゆく楽しさだと思います。
いろんなことを受け止めながら。
”人生の扉”をまたひとつ、開けてゆきましょう。

投稿: m-スナフ | 2011年12月30日 (金) 03時35分

notem-スナフさん

若い頃って、年をとることに負のイメージがありましたが
年齢を重ねるってのもなかなかいいものだなって思います。

もちろん身体は老いていくし大変になっていくけど、
いろんな経験を積むと
精神的なものはだんだん強く安定していくので。

昔の自分より今の自分の方が好きです。
最期の時には最高の自分になっていたいです。

投稿: なかさな | 2011年12月30日 (金) 22時28分

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