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2006年10月15日 (日)

『最後の家族』 村上龍

私は本を読むスピードがとても遅いのだが、これは一気に読んでしまった。

引きこもりやDVを扱った村上龍の作品ということなので、

結構エグイ場面が続出なのではないかと恐れていたのだが、

全くそういうことはなく、崩れかけた家族の再生…というより、

家族それぞれの新たな自立と出発の物語で、読後感がとても良かった。

同じ出来事を、4人の家族(父・母・娘・息子)の目を通して

それぞれの思いをそれぞれの言葉で語る、という手法も面白かった。

普通、小説を読む時は、自分も主人公の立場に立った見方をしてしまうから。

なるほど、当たり前のことだが、父には父の立場があり、母には母の事情があり、

娘には娘の思いがあり、息子には息子の苦しみや悩みがあるんだ。

この小説は、救う・救われるという人間関係を疑うところから出発していて、

誰かを救う事で自分も救われる、という考え方が自立を阻害する場合がある、

ということにも驚いた。

精神保健福祉センター、心理カウンセラー、セラピスト、弁護士など、

今まで自分の関わったことのない分野の人々が沢山出てきた。

実は私にはそういう職業をもつ友達もいて、どんな事をしているのか聞いても、

実際のところ今まで、なんだか漠然としていてよく判らなかったのだが、

なるほど、こういうお仕事だったのね。少しだけど、わかった気がする。

他人を救いたいという欲求と、支配したいという欲求は、実は同じだ、

自分は救われる事がないという思いが、他人への依存に変わる、

この辺りは目から鱗の考え方だった。

では、自分はこれからどうすればいいのかという問いの答えが、

「一人で生きていけるようになること。

 それだけが誰か親しい人を結果的に救うんです。」

そして最後、模索しながらもそれぞれの生き方を見つけ、皆で暮らす家はなくなり、

ばらばらに生活しながらも、自立して生き始めた4人が久しぶりに集まる場面。

父親が、照れながらうれしそうに言う「おれの、家族なんだよ」

…っていう言葉は、とても感動的だった。

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投稿: e-アフィリ | 2006年10月15日 (日) 14時58分

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